妨害は“を” ~守備妨害について③~
・攻撃側による守備妨害(ベースコーチ、その他攻撃側)
・審判による守備妨害
・その他の守備妨害
の紹介です。
【攻撃側による守備妨害】
被害者:守備側
加害者:攻撃側(打者、打者走者、走者、ベースコーチ他)
定義(野球規則:定義44(a))
攻撃側の妨害-攻撃側プレーヤーがプレイしょうとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。
(6.01aペナルティ参照)
発生後の処置
原則:
即ボールデッドで妨害したプレイヤーはアウト
走者は投球時に占有していた塁に戻される。
(例外あり)

野球規則6.01(a)(8)
次の場合は、打者または走者によるインターフェアとなる。
三塁または一塁のベースコーチが、走者に触れるか、または支えるかして、走者の三塁または一塁への帰塁、あるいはそれらの離塁を、肉体的に援助したと審判員が認めた場合。
野球規則6.01(f)
送球が偶然ベースコーチに触れたり、投球または送球が審判員に触れたときも、ボールインプレイである。しかし、ベースコーチが故意に送球を妨害した場合には、走者はアウトとなる。
例も踏まえて、こちらで判りやすく解説しています(決して書くのがめんどうになった訳ではない / 笑)
https://www.youtube.com/watch?v=n3jULa57FgM
お父さん審判チャンネル
コーチの肉体的援助 走者との接触 【守備妨害】
※2015年の公開ですので、現在と条文番号がちがいます。
具体的な判定
肉体的な援助があった走者に対して、直接プレイが行われていた場合
即ボールデッドとして判定、他走者は妨害発生の瞬間の占有塁となる。
肉体的な援助があった走者に対して、直接プレイが行われていなかった場合
全てのプレイが落ち着いてから、タイムをかけ判定する。
塁上の他の走者のプレイは有効となります。
但し、2アウトの場合は、接触した瞬間にボールデッドとし、その走者をアウトにします。
肉体的援助とは何?
野球規則には、具体的に書かれていませんが、
『審判員講習会マニュアル(第4版)』には以下の記載があります。
https://www.baseballjapan.org/jpn/umpire/doc/shinpankosyu_m4.pdf
(P45)
コーチと走者が接触しないように避けても、結果として両者が接触すれば、コーチの肉体的援助を適用します。
比較してみよう(ベースコーチ以外の肉体的援助)
走者が別の走者の肉体的援助をした場合
例:(追い越していないことを前提にして)後ろの走者が前の走者を押した場合
→差し支えありません。(ダメと野球規則には書いていません)
次打者が走者の肉体的援助をした場合
例:次打者が本塁を踏み損ねた(?)走者をもう一度踏みなおすよう押し戻した場合
→差し支えありません。但し、走者がダッグアウトに入ってしまった後、ベンチから押し戻したした場合、
この行為にはペナルティーはありませんが、走者の踏み直しは無効となります。
ベンチの中にいる人の肉体的援助(敵・味方関係なく)
野球規則定義15[原注]
ダッグアウトの縁で飛球を捕らえようとする野手が、中へ落ち込まないように、中にいるプレーヤー(いずれのチームかを問わない)によって、身体を支えられながら捕球した場合正規の捕球となる。
【審判による守備妨害 ~審判は石ころ?~】

審判による守備妨害は、野球規則にて定義されています。
野球規則 定義44(c) 審判員の妨害
(1)盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしょうとする捕手の送球動作を、球審が邪魔したり、はばんだり、妨げた場合、(2)打球が、野手(投手を除く)を通過する前に、フェア地域で審判員に触れた場合に起こる。
審判が送球に当たった場合
球審が捕手の送球を妨害した場合
塁審が打球に当たった場合
【審判が送球に当たった場合】
→成り行き(ボールインプレイ)です。
つまりこの場合、審判は石ころです。
野球規則6.01(f) コーチおよび審判員の妨害
送球が偶然ベースコーチに触れたり、投球または送球が審判員に触れたときも、ボールインプレイである。
〈以下:略〉
【例:実際にありました】
0アウトランナー2塁で2塁ランナーは3盗をする。
捕手は、3塁へ投げるまねはしたものの、投げず、3塁へ盗塁成功。
二塁塁審は、ダイヤモンド内から、ダイヤモンド外へ移動中、捕手からの2塁送球が当たる。
ボールインプレイのままです。
(こぼれ話)
事実だけの記載では、意味がわからないかと思います。
学童野球の練習試合、ここまで1回も盗塁送球をしなかった捕手に対し、業を煮やしたベンチから「セーフでもいいから投げろ!投げないと練習にならない!!」と言われ、なぜか誰もいない2塁へ送球。
その送球がダイアモンドの内→外へ移動していた二塁塁審に当たったということです。
二塁塁審は移動中、突然背中から衝撃を受け、一体なにが起こったのか判らない状況でした。
あの場面、まさか2塁へ投げるとは思っておらず、油断していたのがいけなかったようです。
ちなみにその2塁塁審は私(筆者)です(笑)
【球審が捕手の送球を妨害した場合】
→ボールデッドとなります。 もしも走者が塁を進んでいた場合、戻ります。
つまりこの場合審判の妨害は、妨害ではなくアクシデントと考えます。
野球規則:5.06(C)(2)
次の場合にはボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許されるか、または帰塁する。その間に走者はアウトにされることはない。
(略)
(2) 球審が、盗塁を阻止しようとしたり、塁上の走者をアウトにしようとする捕手の 送球動作を妨害(インターフェア)した場合 - 各走者は戻る。
【付記】捕手の送球が走者をアウトにした場合には、妨害がなかったものとする。
【原注】捕手の送球動作に対する球審の妨害には、投手への返球も含む。
【注】捕手の送球によってランダウンプレイが始まろうとしたら、審判員はただちに 〝タイム〟を宣告して、走者を元の塁に戻す。
【塁審が打球に当たった場合】
ダイアモンド内の塁審(主に二塁塁審)に当たった場合は、即ボールデッドとなり、打者走者へ1塁へ行くことができます。
即ボールデッドですので、その後のプレイは全て無効です。
ダイアモンドの外で当たった場合(一・二・三塁審)の場合は、インプレイのままです。
例え、ダイアモンド内で当たったとしても、その前に打球が野手に触れた場合はインプレイのままですので、ボールデッドにはしません。
野球規則:5.05(b)(4)
5.05 打者が走者となる場合
(b)打者は、次の場合走者となり、アウトにされるおそれなく、安全に一塁が与えられる。(ただし、打者が一塁に進んで、これに触れることを条件とする)
(4) 野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で審判員または走者に触れた場合。
ただし、内野手(投手を除く)をいったん通過するか、または野手(投手を含む)に触れたフェアボールが審判員に触れた場合にはボールインプレイである。
野球規則5.06(c)(6)
5.06(C) ボールデッド
次の場合にはボールデッドとなり、走者は1個の進塁が許されるか、または帰塁する。その間に走者はアウトにされることはない。
(6) 内野手(投手を含む)に触れていないフェアボールが、フェア地域で走者または審判員に触れた場合、あるいは内野手(投手を除く)を通過していないフェアボールが、審判員に触れた場合
ー 打者が走者となったために、塁を明け渡す義務が生じた各走者は進む
走者がフェアボールに触れても、次の場合には、審判員はアウトを宣告してはならない。なお、この際は、ボールインプレイである。
(A) いったん内野手に触れたフェアボールに触れた場合。
(B) 1人の内野手に触れないでその股間または側方を通過した打球にすぐその後方で 触れても、このボールに対して他のいずれの内野手も守備する機会がなかったと審 判員が判断した場合。
【原注】打球が投手を通過してから、内野内に位置していた審判員に触れた場合は、 ボールデッドとなる。フェア地域で野手によってそらされた打球が、まだインフライトの状態のまま、走者または審判員に触れ地上に落ちるまでに、内野手によって 捕球されても、捕球とはならず、ボールインプレイの状態は続く。
【注】フェアボールがファウル地域で審判員に触れた場合、ボールインプレイである。
・その他の守備妨害
【観 客】
観客による妨害は、即ボールデッドです。もし妨害がなかったら、どのような状態になったかを審判が判断して、処置をとります。
もしも、飛球(フライ)が捕れると判断したのであれば、アウト。飛球(フライ)がスタンドに入ったと判断したのであればホームランとなります。
野球規則 定義:44 INTERFERENCE「インターフェアランス」(妨害)
(d) 観衆の妨害-観衆が競技場内に入ったり、スタンドから乗り出したり、または競技場内に物を投げ込んで、インプレイのボールを守備しようとしている野手の邪魔をした場合に起こる。
野球規則6.01(e)
(e)観衆の妨害
打球または送球に対して観衆の妨害があったときは、妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる。
【規則説明】観衆が飛球を捕らえようとする野手を明らかに妨害した場合には、審判員は打者に対してアウトを宣告する。
【鳥などの動物】
打球または送球が飛んでいる鳥またはプレイングフィールド上の動物に当たった場合、ボールインプレイです。
もし投球が飛んでいる鳥またはプレイングフィールド上の動物に当たった場合は、その投球は無効となり、カウントはしません。
野球規則5.06(b)(4)(A)[注1]
(4)次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされるおそれなく進塁する ことができる。
(A) 本塁が与えられ得点が記録される場合 — フェアボールがインフライトの状 態でプレイングフイールドの外へ出て、しかも、各走者が正規に各塁に触れた場合。 また、フェアボールがインフライトの状態で、明らかにプレイングフイールドの外 へ出ただろうと審判員が判断したとき、野手がグラブ、帽子、その他着衣の一部を 投げつけて、その進路を変えた場合。
【注1】フェアの打球がインフライトの状態で、明らかにプレイングフイールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、観衆や鳥などに触れた場合には、本塁が与えられる。
送球またはインフライトの打球が、鳥に触れた場合は、ボールインプレイでありインフライトの状態は続く。
しかし、プレイングフイールド上(地上)の鳥または動物に触れた場合は、ボールインプレイであるが、インフライトの状態でなくなる。
また、投球が鳥に触れた場合は、ボールデッドとしてカウントしない。
犬などがフ ェアの打球、送球または投球をくわえたりした場合には、ボールデッドとして審判員の判断によって処置する。
【ボールボーイに当たる】
打球や送球をボールボーイが避けようとして、避けきれずに当たった場合は、インプレイのままです。
フェアボールを勘違いして捕ってしまった場合は、ボールデッドとなり、もし妨害がなかったら、どのような状態になったかを審判が判断して、処置をとります。
野球規則6.01(d) 競技場内に入ることを公認された人の妨害
競技場内に入ることを公認された人(試合に参加している攻撃側メンバーまたはベースコーチ、そのいずれかが打球または送球を守備しようとしている野手を妨害した場合、あるいは審判員を除く)が競技を妨害したとき、その妨害が故意でないときは、ボールインプレイである。
しかし故意の妨害のときには、妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる。(4.07a参照)
【原注】本項で除かれている攻撃側メンバーまたはベースコーチが、打球または送球を守備しようとしている野手を妨害した場合については6.Ol(b)参照。審判員による妨害については5.06(c)(2)、同(6)および5.05(b)(4)、走者による妨害については5.09(b)(3)参照
妨害が故意であったか否かは、その行為に基づいて決定しなければならない。
たとえば、バットボーイ、ボールボーイ、警察官などが、打球または送球に触れないように避けようとしたが避けきれずに触れた場合は、故意の妨害とはみなされない。しかしボールをけったり、拾い上げたり、押し戻した場合には、本人の意思とは関係なく故意の妨害とみなされる。
【注】例—打者が遊撃手にゴロを打ち、それを捕った遊撃手が一塁に悪送球した。一塁ベースコーチは送球に当たるのを避けようとしてグラウンドに倒れ、悪送球を捕りに行こうとした一塁手と衝突した。打者走者は三塁にまで到達した。妨害を宣告するかどうかは審判員の判断による。コーチが妨害を避けようとしたが避けきれなかったと判断すれば、妨害を宣告してはならない。
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