妨害は“を” ~守備妨害について②~
【攻撃側による守備妨害】
被害者:守備側
加害者:攻撃側(打者、打者走者、走者、ベースコーチ)
定義(野球規則:定義44(a))
攻撃側の妨害-攻撃側プレーヤーがプレイしょうとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。
(6.01aペナルティ参照)
発生後の処置
原則:
即ボールデッドで妨害したプレイヤーはアウト
走者は投球時に占有していた塁に戻される。
(例外あり)

【打者走者による守備妨害?】
【例1】
0アウトランナーなし、打者の打った打球はホームベース前1塁線をコロコロと転がる。
この打球を処理しようとして捕手と1塁へ向かった打者走者がぶつかる。
捕手はぶつかった為、その後の処理ができなかった。
打者走者は故意にぶつかったようには見受けなかった。
この場合は、ナッシングで守備妨害も走塁妨害もとりません。
野球は守備優先を前提にルールが作られていますが、本塁付近は捕手も打者も出会い頭で接触する場合が多く、
ともに避けられないのです。従いましてこのケースでは、なりゆきとなります。(規則6.01(a)(10)[原注])
野球規則6.01(a)(10)[原注]
【原注】捕手が打球を処理しようとしているときに、捕手と一塁へ向かう打者走者とが接触した場合は、守備妨害も走塁妨害もなかったものとみなされて、何も宣告されない。
打球を処理しようとしている野手による走塁妨害は、非常に悪質で乱暴な場合にだけ宣告されるべきである。
たとえば、打球を処理しようとしているからといって、走者を故意につまずかせるようなことをすれば、オブストラクションが宣告される。
こちらは非常に参考になります。
UDC濱野太郎のBASEBALL RULE講座 捕手と打者走者の出会い頭
https://www.youtube.com/watch?v=oS3zunHxNSU
なので、スリーフットレーンは中途半端な所から始まっているんだね。

さて、このスリーフットレーンにもルールがあります。
※スリーフィートともいいますが、野球規則に倣ってスリーフットとしています。
スリーフットレーンオーバー
1塁に対して守備が行われているときに、打者走者がスリーフットレーンの外(ファウルラインよりもフェアグラウンド側またはスリーフットラインよりもファウルグラウンド側)を走って、
1塁への送球を捕えようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合、打者走者は守備妨害が宣告されてアウトになります。
スリーフットレーンの外?
では、どのような場合、レーンの外になるのでしょうか?
野球規則50.9(a)(11)【原注】
スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンの中もしくはスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。
つまり、ラインの上はOKだけど、片足でもラインの外に出ていたらダメってことだね。
【例2※実際にありました】
試合開始。1番バッターは初球を打ち。ボテボテの3塁ゴロ。
三塁手が前にダッシュしてゴロを捕って1塁へ送球したが、それが超悪送球になって、打者走者に当たる。
その時、打者走者は3フットレーンの外を走っていた。
この場合は、インプレイのまま(なりゆき)となります。
1塁に対しての守備が行われていないからです。
つまり、必ずこのレーン内を走る必要はありません。みんなもヒットを打った時、このレーン内を走っていないよね(オーバーラン)。
“1塁に対して守備が行われている”ていう所がポイントです。
野球規則5.09アウト(a)
打者は、次の場合、アウトとなる。
(11) 一塁に対する守備が行なわれているとき、本塁一塁間の後半を走るに際して、打者がスリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走って、一塁への送球を捕らえようとする野手の動作を妨げたと審判員が認めた場合。この際は、ボールデッドとなる。
ただし、打球を処理する野手を避けるために、スリーフットラインの外側(向かって右側)またはファウルラインの内側(向かって左側)を走ることはさしつかえない。
【原注】スリーフットレーンを示すラインはそのレーンの一部であり、打者走者は両足をスリーフットレーンの中もしくはスリーフットレーンのライン上に置かなければならない。

【走者による守備妨害】
典型的な走者による守備妨害は、以下の2つです。
・守備をする人を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる。
・打球に当たる
ペナルティー:
該当するランナーはアウト。打者は1塁への安全進塁権が与えられる。他のランナーは、投球時占有していた塁まで戻される。
・守備をする人を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる。
尚、野球規則6.01(a)(5)【原注】では、“例外”を記載しています。(2019改訂しました。)
野球規則6.01(a)(5)【原注】
打者または走者が、アウトになった後、進塁を続けたり、帰塁したり、正規の占有していた塁に戻ろうと試みたりしても、その行為だけでは、野手を惑乱したり、邪魔したり、またはさえぎったものとはみなされない。
故意の妨げは打者走者もアウト
尚、併殺を行わせまいとして故意に打球を妨げるか、または打球を処理している野手を妨害した場合は、走者はアウトだが、打者走者もアウトとなる。

典型的なのは、守備を行おうとしている野手とぶつかる場合です。故意でなくてもその走者はアウトとなります。
下記の“打球に当たる”場合と比較しています。ご参考ください。
・打球に当たる。
走者はフェアウラウンド内で打球に当たった場合、その時点でボールデッドとし、当たった走者がアウトとなります。
打者は1塁へ進むことができます。(例え当たったのが故意でなくても)
但し、故意でないことが前提ですが、以下の場合は例外となります。
(例外1) ボールが内野手にすでに触れた場合
(例外2) ボールが内野手を通過(すなわち内野手の股間または守備しようとした内野手の側方を通過)し、かつ他の内野手が守備する機会がなかった場合
細かな点は例でみてみましょう。
【例3 ※典型的】
0アウトランナー2塁。打者打った打球は、ショートゴロ。
遊撃手が守備をしようとした前で打球が3塁へ向かった2塁走者へ当たる。
2塁走者は故意に当たったとは見えなかった。
守備妨害で2塁ランナーはアウト。打者は1塁へ進むことができます。
1アウトランナー1塁で再開です。
【例4】
0アウトランナー2塁。打者打った打球は、三遊間へのゴロ。
三塁手は、ゴロをカットしようとしたが、届かず通過したゴロが2塁ランナーへ当たる。
尚、遊撃手は、三遊間深く打球を捕ろうと動いており。この打球に対してプレイしようとしていた。
守備妨害で2塁ランナーはアウト。打者は1塁へ進むことができます。
1アウトランナー1塁で再開です。
【例5】
0アウトランナー1塁。打者打った打球は、強烈なピッチャー返し。
投手は、これを捕ろうとしたが、はじいてしまった。このゴロが1塁ランナーへ当たる。
尚、二塁手は、投手がはじいたゴロに対してプレイしようとしていたが、1塁ランナーに当たった為、守備ができなかった。
ボールインプレイのままです。
一度、投手がはじいた打球ですので、走者には責めがありません。
(勿論、故意でない場合ですよ)
【例6 ※例5と比較してみよう】
0アウトランナー1塁。打者打った打球は、強烈なピッチャー返し。
投手は、これを捕ろうとしたが、はじいてしまった。このゴロに対し、プレイをしようとしていた二塁手と1塁ランナーが接触、守備ができなかった。
守備妨害で1塁ランナーはアウト。打者は1塁へ進むことができます。
1アウトランナー1塁で再開です。
尚、この衝突が1塁ランナーの故意であると判断されると、打者もアウトとなります。
野手が弾いた打球が走者に当たった場合は、成り行きだけど、弾いた打球を処理しようとした野手を妨害した場合は、守備妨害
ってことだね。
ベース(塁)は安全地帯ではない。
【例7】
0アウトランナー3塁。打者の打った打球は、強烈な3塁線の当たり。
この打球が3塁ベースに触れている走者にフェアグラウンド内で当たる。
三塁手は、3塁ベースの後ろでこの打球に対してプレイをしようとしていた。
守備妨害で3塁ランナーはアウトです。
打者走者は1塁へ。1アウトランナー1塁で再開です。
【例8※例7と比較してみよう】
0アウトランナー3塁。打者の打った打球は、強烈な3塁線の当たり。
この打球に対し守備をしようとした三塁手は、3塁ベースに触れている走者が邪魔でプレイができなかった。
審判が故意でないと判断した場合は、インプレイのままです。
ベースについていた走者が打球に当たった場合は、守備妨害だけど、故意ではなく邪魔した場合は、成り行きということだね。
但し、インフィールドフライが宣告された打球が、ベースについていた走者に当たった場合は、その走者はアウトにならないよ
(5.09(b)(7)[例外][注5])※インフィールドフライの時に紹介しています。
またこんな場合もあります。
【例9※例7・8と比較してみよう】
ノーアウトランナー2塁。打者は三塁線にバント。投手と三塁手が追って、ファールにならないかみていた。
打球はライン内を転がり続け、3塁ベースに当たった後、3塁ベース上にいた2塁ランナーに当たった。
打球は野手を通過していないが、守備をする機会を持ちながら、それを選択しなかった為、そのままインプレイです。
2塁ランナーはアウトになりません。
【例10】
1アウトランナー1塁。1塁ランナーはエンドランで2塁へ
打者は二塁手の定位置にゴロを打つ。二塁手は2塁ベースのカバーに行った為、空いていたがこの打球が1塁ランナーに当たった。
1塁走者は守備妨害(打球に当たったこと)でアウト。
打者走者には1塁へ。2アウトランナー1塁(ランナー入替)で再開。
このプレイでは、打球が内野手を通過したとはみなされない。
打球が野手を通過していたかどうかは、走者が打球に触れた地点が、野手とファウルラインを垂直に結ぶ線よりも前か後かで判断する。
【例11】
0アウトランナー2・3塁で前進守備。打者の打った打球は遊撃手の正面のゴロ。
これを遊撃手がトンネルしたが、後ろを走っていた2塁ランナーに当たった。
インプレイのままです。
- 関連記事
-
- 妨害は“を” ~走塁妨害について~
- 妨害は“を” ~守備妨害について③~
- 妨害は“を” ~守備妨害について②~
- 妨害は“を” ~守備妨害について①~
- 妨害は “を”