妨害は“を” ~守備妨害について①~
アメリカでは、先回紹介した打撃妨害と同じくインターフェア(interference)と呼ばれています。
さて、この守備妨害ですが、様々なケースがあります。
簡単に紹介しますと
・攻撃側による守備妨害
・審判による守備妨害
・その他の守備妨害
その中で、一番多いのが攻撃側の守備妨害です。
攻撃側の守備妨害について紹介いたします。
先回のブログでも書きましたが・・・・
原則、故意(わざと)であるないを問わず“妨害”という名称でルールは適用されます。
しかし、攻撃側の守備妨害に関しては、故意(わざと)の場合は、ペナルティーが重くなっております。
【攻撃側による守備妨害】
被害者:守備側
加害者:攻撃側(打者、打者走者、走者、ベースコーチ)
定義(野球規則:定義44(a))
攻撃側の妨害-攻撃側プレーヤーがプレイしょうとしている野手を妨げたり、さえぎったり、はばんだり、混乱させる行為である。
(6.01aペナルティ参照)
発生後の処置
原則:
即ボールデッドで妨害したプレイヤーはアウト
走者は投球時に占有していた塁に戻される。
(例外あり)
【打者による守備妨害】
打者による守備妨害は大きく分けると3つになります。
1.打者が捕手から投手への返球を妨害する
2.打者が捕手の送球を妨害する
3.打者が野手(捕手を含む)の守備を妨害する
それぞれ事例ごとに紹介しますが、ポイントは、
バッタースボックスを出たかどうかです。
※野球規則ではバッタースボックスと記載されています。
事例とペナルティー
1.打者が捕手から投手への返球を妨害する
【例1】
1アウトランナー1塁。捕手から投手への返球がバッタースボックスから出ていた打者のバットにあたり、転がる。
これを見た1塁ランナーは、2塁へ進んだ。尚、1塁ランナーは投球時、返球時に進塁行為はなかった
この場合、ボールデッドとなり、1塁ランナーは1塁へ戻されます。
打者には守備妨害は適用されません。
但し、審判が故意と判断した場合は、守備妨害となり打者はアウトとなり、1塁ランナーは1塁へ戻されます。
【例2 例1と比較してみよう】
1アウトランナー1塁。捕手から投手への返球がバッタースボックス内にいた打者のバットにあたり、転がる。
これを見た1塁ランナーは、2塁へ進んだ。尚、1塁ランナーは投球時、返球時に進塁行為はなかった。
審判が故意ではないと判断すれば、ボールインプレイです。1塁ランナーの2塁進塁は生きます。
2.打者が捕手の送球を妨害する
【例3 例1と比較してみよう】
1アウトランナー1塁。投手の投球時に1塁ランナーはスタートを切る。
打者は空振り。捕手から2塁への送球が、空振りの勢いでバッタースボックスから出ていた打者が邪魔で
送球ができなかった。1塁ランナーは、2塁へ進んだ。
打者の行為は、故意ではないように見えた。
打者の守備妨害となり、打者アウト、走者は1塁へ戻されます。
【例4 例3と比較してみよう】
1アウトランナー1塁。投手の投球時に1塁ランナーはスタートを切る。
打者は空振り。捕手から2塁への送球が、空振りの勢いでバッタースボックスから出ていた打者が邪魔だったが、2塁へ送球。
1塁ランナーは、2塁でタッチアウトとなった。打者の行為は、故意ではないように見えた。
1塁ランナーはアウト。打者の守備妨害はなしとなる(打者はストライクがひとつ増えるだけ)
※守備妨害は、即ボールデッドの例外です。

三振した打者が送球を妨害する。
【例5】
1アウトランナー1塁。カウントは3-2。投球と同時に1塁ランナーはスタート。
打者は空振り。捕手から2塁への送球が、空振りの勢いでバッタースボックスから出ていた打者が邪魔だったが、2塁へ送球。
1塁ランナーは、2塁セーフ。打者の行為は、故意ではないように見えた。捕手は正規に捕球していた。
打者は三振でアウト、1塁ランナーは、打者の守備妨害でアウトです。
野球規則6.03(a)(5)
アウトになったばかりの打者または走者、あるいは得点したばかりの走者が、味方の走者に対する野手の次の行動を阻止するか、あるいは妨げた場合は、その走者は、味方のプレーヤーが相手の守備を妨害(インターフェア)したものとして、アウトを宣告される。(5.09a13参照)
ではこの場合は・・・
【例6 例5と比較してみよう】
1アウトランナー2塁。カウントは3-2。投球と同時に2塁ランナーはスタート。
打者はワンバウンドを空振り。捕手から3塁への送球が、空振りの勢いでバッタースボックスから出ていた打者が邪魔だったが、3塁へ送球。2塁ランナーは、3塁セーフ。打者の行為は、故意ではないように見えた
打者は守備妨害でアウト。2塁ランナーは2塁へ戻されます。
打者は3ストライクですが、アウトになっていません。
3.打者が野手(捕手を含む)の守備を妨害する
打者が空振りし、その余勢でバットが捕手または投球に当たった場合
【例7】
1アウトランナー1塁。エンドランがかかり、1塁ランナーはスタート。
打者はこの投球を空振り。この空振りしたバットが捕手に当たり、捕手は2塁送球ができなかった。
審判が“故意でない”と判断すれば、守備妨害とはならず、ボールデッドとなる。
ランナーは1塁へ戻され、打者は、ストライクカウントがひとつ増える。
尚、第3ストライクの場合は、例えファールチップであっても、打者をアウトとする。
審判が“故意である”と判断すれば、守備妨害となり、打者はアウト。
ランナーは1塁へ戻される。
打者が打った打球が本人に当たった場合

【例8】
0アウトランナーなし。打者の打った打球が自分(打者自身)に当たった。
打球の進路を妨害しようとする意図がなかったと審判員が判断すれば、バッタースボックス内では、ファールとなります。
意図がないと判断しても、片方の足でもバッタースボックスから出た状態で当たった場合は、守備妨害でアウトとなります。
バッタースボックスから出た状態とは・・・
両足ともボックスの中・・・ファール
両足ともボックスの外・・・打者アウト
片方ボックスの中、片方がボックス外で両方とも地面についている場合・・・打者アウト
片方がボックスの中、片方がボックス外の空間・・・ファール
片方がボックスの外、片方がボックス内の空間・・・打者アウト
打者が飛ばしたバットが守備の邪魔をする。
【例9】
0アウトランナー1塁、打者がピッチャーゴロを打ったが、打ったはずみでバットがすっぽ抜け、投手へ飛んで行き、
投手がその後の守備ができなかった。尚、打者が故意にバットを飛ばしたようには見えなかった。
打者は守備妨害でアウト。走者は1塁へ戻されます。
尚、バットが折れて、折れた部分が邪魔をした場合は、インプレイのままとなります。
バット全体がフェア地域またはファウル地域に飛んでプレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけでなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害したときには、故意であったか否かの区別なく、打者に妨害が宣告され、打者はアウトとなります(野球規則5.09(a)(8)[原注])

野球規則5.09(a)【原注】
バットの折れた部分がフェア地域に飛び、これに打球が当たったとき、またはバットの折れた部分が走者または野手に当たったときは、プレイはそのまま続けられ、妨害は宣告されない。打球がバットの折れた部分にファウル地域で当たったときは、ファウルボールである。
バット全体がフェア地域またはファウル地域に飛んで、プレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけでなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害したときには、故意であったか否かの区別なく、妨害が宣告される。
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