チャンスに強くなる!? ~プレッシャーについて~
地区大会決勝戦
この試合勝てば全国大会へ進出。
6回の裏、2-0で負けていて、こちらの攻撃。
2アウトランナー満塁で自分に打席が回ってきた。
プレッシャーがかかる場面ですね。
(子どもは勿論ですが、その親もですよね)
今回はプレッシャーについて述べていきたいと思います。
【プレッシャーとは何か?】
プレッシャーとは特定の状況において心に感じる圧力や重圧のことです。
プレッシャー自体には、プラスもマイナスもありません。
自分の捉え方、感じ方、考え方によってプラスにもマイナスにもなります。
先程の例の場合でも・・・
6回の裏2-0で負けている状態で、満塁での自分の打席
という特定の状況です。
この場面だけ見れば、確かにプラスもマイナスもありません。
よし!ここで打てばヒーローだ!
とプラスに捉える人もいますし、
打てなかったら責任重大だな~
とマイナスに捉える人もいます。
この両方を思っている人もいます。
ただ・・・・・
プラスに捉えられる人は圧倒的に少ないのが現実です。
チャンスの時の代打でも、“ピンチ”ヒッターとは、なにか代打の人の心を表しているみたいですね。
(ピンチヒッターの元々の語源は違いますが・・・)
では、どんな時にプレッシャーがかかるのでしょうか?
【プレッシャーの正体】
出典:『プレッシャーなんてこわくない 誰でも本番で勝てるメンタル強化術』・結果が自分にとって重要である
・結果が不確定である
・結果に対する責任が自分にあると感じ、結果によって自分の評価が決まると感じる
ヘンドリー ウェイジンガー (著),J P ポーリウ=フライ (著),高橋 早苗 (翻訳) 早川書房
さて、そんなプレッシャーを跳ね返して結果を出す人がいます。どんな人なのでしょうか?
【プレッシャーに強い選手を探せ!】
野球には、得点圏打率という指標があります。
NPBの公式打撃成績には採用されていませんが、スポーツニュースではたびたび取り上げられていますので、なじみのある方もいらっしゃるでしょう。得点圏打率とは、ランナーが2塁または3塁にいる場面での打率のことで、そのシーズの“得点圏打率 > シーズン打率”の選手をチャンスに強い打者とし、“クラッチヒッター”と呼んでします。
(基本定義はありませんので、勝利打点が多い選手を“クラッチヒッター”と呼ぶケースもあります)
しかし、この得点圏打率は、イニングと点差、打点がついたかどうかは関係ありません。
つまり、得点圏打率には、プレッシャーがかからない場面でのヒットも換算されるのです。
【デヴィッド・グラビナーの調査】
数学者のデヴィッドは、大のボストン・レッドソックスファンです。
「うちはどの選手もプレッシャーがかかる場面では打てないのに、相手はバンバン打っている」と常々嘆いていました。
ならば、プレッシャーに強い選手は誰なんだろう?
この疑問から、MLB全ての選手を対象にプレッシャーに強い選手を調べてみたそうです。
試合の終盤、得点差の少ない状態での各選手の打率を算出し、その選手のシーズンの打率と比較しました。
プレッシャーがかかる場面での打率 > シーズン打率
であれば、プレッシャーに強い選手となります。

結果は0人。正確には何人かいたそうですが、そもそもの打席数が少ない選手だったそうです。
その後も数シーズンに渡り、この調査を行ったのですが、結果は0人でした。
【バスケットボール フリースローの調査】

バスケットボールのフリースローはプレッシャーを測る上で最良の対象です。
どこで試合をしても、同じ距離、同じ場所にゴールがあり、フリースローをブロックする敵がいません。
違いがあるのは、残り時間と点差のみ。
なので、プレッシャーに強い選手をみつけるには、うってつけの場面です。
NBA公式戦の中で、残り時間2分以内で、得点差が5点以下で負け状態でのフリースローの成功率とその選手の1シーズンのフリースロー成功率とを比較してみました。
NBA全シーズンの平均成功率は76%、プレッシャーが最大になる状況(点数差が5点以内で試合終了まで1分以内に放たれたフリースロー)だと69%に下がるという結果となりました。
そして、プレッシャー時のフリースロー成功率 > シーズンのフリースロー成功率だった選手はいませんでした。
つまり、野球、バスケットボールの最高峰においてでも、プレッシャーに強い選手はいない
ということになります。
ピンチを跳ね返すタイムリーヒットは存在するが、ピンチに強い選手はいない
MLB タンパベイ・レイズ分析部門統括 ジェイムス・クリック
MLBの分析責任者もこのように同じ結論をだしております。
バスケットボールの神様、マイケルジョーダンも
I've missed more than 9000 shots in my career. I've lost almost 300 games. 26 times, I've been trusted to take the game winning shot and missed. I've failed over and over and over again in my life. And that is why I succeed.
「私は9,000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。決勝シュートを任されて26回も外した。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ。」
マイケル・ジョーダン(ナイキのCMより)
https://www.youtube.com/watch?v=GuXZFQKKF7A
だからこそ・・・・
スポーツは一大エンターテイメントになりますし、映画産業はプレッシャーを題材に使って儲けている訳ですよね。
【プレッシャーの克服方法】
先程のMLB分析責任者の言葉の通り、プレッシャーに強い人はいませんが、プレッシャーをやわらげる方法はあるようです。
出典:『プレッシャーなんてこわくない 誰でも本番で勝てるメンタル強化術』・自分を試すチャンスだと考える
・チャンスは他にもあると考える
・あまり深刻に考えない
・ミッションに集中する
・心の準備をしておく
・自分の優れている点を挙げる
・絶好調の自分を思い出す
・前向きな姿勢を保つ
・五感に耳をすませる
・自分がコントロールできることに集中する
・好きな歌を聴く
・キーワードやイメージを決める
・プレッシャーの場面を練習する
・左手でボールを握り締める
・不安を全て書き出す
・自意識を捨てる
・瞑想する
・プレ・ルーティーンを決める
・思考を減速させる
・呼吸をととのえる
・自分の出番を一番にする
・自分の気持ちを誰かに打ち明ける
ヘンドリー ウェイジンガー (著),J P ポーリウ=フライ (著),高橋 早苗 (翻訳) 早川書房
全てをやることは不可能ですし、できることとできないことがありますが(バッターボックスで音楽聴く訳にはいきませんよね)
自分にあったものを選択し実行してみるのも良いでしょう。
イチロー去年、行き着いたひとつの答えは、プレッシャーを克服する方法なんて、結局はないんだということです。
以前はプレッシャーがない普通の状態に近い自分をどうやって取り戻すことができるのか、そういう薬みたいなものを探していました。でも、そんなものはないんだというのが現段階での結論です。
そう思えたことは大きいですよ。あるかもしれないと思っているのと、ないんだと割り切っているのとでは、プレッシャーに対する向き合い方はまったく違ってきますから。
日向翔陽 烏野高校 バレーボール部
出典:『ハイキュー』古舘春一
日経Gooday
「苦しいときほど〇〇」 スポーツ心理学者が明かすプレッシャーに強い人の共通点
2016/5/24 西門和美=フリーライター
https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/16/051800025/051800002/
後半に星稜高校(石川県)野球部のプレッシャーをやわらげる方法について記載があります。
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