身長を伸ばす栄養素⑤ ~最近足りていないマグネシウム~
先回はカルシウムを取り上げましたが、カルシウムといえば、忘れてはならないのがマグネシウムです。
マグネシウムは、カルシウムの骨への定着を促し、骨の健康やしなやかさ、強さに関与しています。
マグネシウムもカルシウムと同じく、骨が貯蔵庫です。身体中のマグネシウムのうち、50-60%が骨、20%が筋肉にあり
残りは細胞内に存在します。
また、マグネシウムは成長成分であるビタミンDを活性化させる作用があります。

元素記号:Mg
【成長成分以外の効果】
・マグネシウムは300種類以上の酵素反応に、補酵素として働いています。
・栄養素の合成・分解過程のほか、遺伝情報の発現や神経伝達などにも関与しています。
・筋肉の収縮を制御(弛緩)作用
・血管を拡張させて血圧を下げる作用
・血小板の凝集を抑え血栓を作りにくくする作用。
・抗ストレス作用
【そばのひ孫と孫(は)やさしい子】
マグネシウムをたくさん含む食品は以下の通りです。

【必要摂取基準】
12~14歳 250mg(推奨:290mg)
15~17歳 300mg(推奨:360mg)
耐用上限量 350mg/日
※推奨は、ほとんどの人が必要量を満たす量。
※耐用上限量は、食品摂取ではなく、サプリや薬で摂取した場合
【カルシウムとマグネシウムはセット】
カルシウムとマグネシウムはブラザーイオン(ミネラル)と呼ばれ、お互いが協力しあったり拮抗しあったりしています。
例を挙げると、筋肉の収縮で中心的な役割を果たしているのはカルシウムですが、このカルシウムの働きを調節しているのがマグネシウムです。
筋肉細胞にカルシウムが入ることで筋肉の収縮は行われていますが、この収縮を調節しているのがマグネシウムの役目です。従って、マグネシウムが不足すると筋肉の収縮に支障をきたし、痙攣(けいれん)や震えといった症状が出現します。
カルシウムとマグネシウムは血液中に2:1で存在して作用しており、この割合のときにカルシウムの吸収率がもっともよくなるので、食事中のカルシウムとマグネシウムの割合もこれが理想です。
牛乳の所でも書きましたが、牛乳のカルシウム:マグネシウムの比率は11:1です。しかも牛乳のカルシウムは、吸収性が高い食品です。牛乳でカルシウムを摂る為には、セットでマグネシウムを摂りましょう。
【意識して摂りたいマグネシウム】
今の日本人には、マグネシウムが足りない!!
「日本人はカルシウムが足りない!!」とは昔から聞いたことがあるけど・・・
上記のマグネシウムをたくさん含む食品を見てお判りの通り、和食の材料に使われる食品が多いです。
昔の日本人は、和食が中心で牛乳や動物性たんぱく質を食す文化ではなかった為、カルシウム不足が言われていました。
「カルシウムが足りない」ということで、学校給食に導入されたり食の欧米化の影響(効果?)で、カルシウムの摂取は2倍となったそうです。(それでも足りないみたいですが)
その一方、セットであるマグネシウムは、横ばい。
つまり昔に比べ、マグネシウムが足りていない状態になっています。
また現代社会はストレスが多くなっています。マグネシウムは抗ストレスミネラルとして、ストレスがあった場合、優先的に使われます。
その為、現代の日本人には、足りないミネラルと言ってよいでしょう。
【豆腐をかためるのもマグネシウム】
昔、豆腐を固めるのに海の水から塩をとった後に残った液体「にがり」を使用して固めていました。
このにがりにはマグネシウムが豊富に含まれています。
しかし、今はにがりの代わりに、塩化カルシウムという凝固剤で固める豆腐が多くでております。
これも、日本人のマグネシウム不足に拍車をかけています。
昔、このにがりを使った、にがりダイエットがあったそうですが、
ただ単に下痢を起こして痩せるといった方法と判明した為、今では下火となっています。
(やっぱ下痢はつらいですからね)
【マグネシウムの摂りすぎると】
一度にマグネシウムを摂りすぎると、速やかに下痢になります。
これを利用して、薬の下剤にはマグネシウムが使われています。
【皮膚からも吸収できる】
マグネシウムは、皮膚からでも吸収できるミネラルと言われています。
海外では、ローションやスプレーなどを販売しており、認知度が高いです。
また、入浴剤として発売もされており、エプソムソルトという入浴剤は、
ハリウッドセレブ達の間で使われていることで有名となりました。
【こむら返りはマグネシウム不足?】

「いてて!つった!つった!」といった通称 “こむら返り” とよばれる痙攣の原因のひとつが、“マグネシウム不足”と言われています。
筋肉の収縮はカルシウムが働くことで生まれますが、収縮した筋肉を弛緩させる働きは、マグネシウムが行っています。
マグネシウムが足りないと、一度収縮した筋肉を元の状態に戻すことができなくなります。
これにより痙攣(つり)が発生すると言われています。
つった際に応急処置として、マグネシウムが入ったローションやスプレーを海外では良く使用しているそうです。
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