牛乳神話

先回紹介したカルシウム。
カルシウムといえば牛乳。というぐらいカルシウムの代表食品ですね。
“大きくなりたいなら、牛乳を飲め”
昔は良くいわれていました(今も?)
先回のカルシウムでも説明した通り、カルシウムには、骨の成長を促す作用はありません。
そんなカルシウムの代表格である牛乳。今回は牛乳についてです。
最近は“牛乳有害説”なんてのもでております。
注意!!
今回牛乳をとりあげますが、牛乳アレルギーのある方は絶対に摂らないでくださいね。
まずは、牛乳の栄養成分について

と、この図を見てもピンときませんね。
標準的なコップ1杯が約180mlですので、これの倍の数字が大体1回で飲む数字になります。
牛乳の特徴であるカルシウム。コップ1杯で220mg。
12歳~14歳の1日に必要なカルシウム量は1,000mg(推奨量)。
つまり、コップ1杯で1日のカルシウムの22%が摂れる計算となります。
他の食品と比べてどうかというと、実はそんなに多い訳ではありません。
ひじきは100g中1400mgカルシウムが含まれています。牛乳の12倍です。
干しえびは、100g中7100mgです。(牛乳の64倍)
しかし、ひじき100gとは、お店で売っている1袋がだいたい100gですので、
1袋全部食べられるのであれば、牛乳以上のカルシウムが摂れることになりますが・・・
できる??
つまり牛乳は、手ごろにカルシウムを摂取できる食品ということが判ります。
また、体に吸収しにくいカルシウムも一番吸収しやすいのが牛乳です(約40%)
カルシウム以外にも、たんぱく質の必須アミノ酸9種類は、全て含まれており、アミノ酸スコアは100。
同じくたんぱく質のカゼインホスホペプチド(CPP)は吸収しづらいカルシウムの吸収を助け、ラクトフェリン(LF)は、鉄の吸収を助ける働きがあります。
またトリプトファンも多く含まれております。
トリプトファンは、以前「成長ホルモンと睡眠について」にてお話した、
“昼のホルモン”セロトニンをどばどば出す→“睡眠ホルモン”メラトニンがどばどば出る→成長ホルモンがどばどば出る。
の大元であるセロトニンの材料になります。
ビタミンも豊富で特にビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB2は豊富です。
しかし、ビタミンC、Eは少ないです。
こんなに栄養成分が豊富な牛乳ですが、近年は“牛乳有害説”もあります。
【牛乳有害説】
ネットの検索で“牛乳”と検索をかけると、上位にでてくるのが
“牛乳超危険”、“牛乳 体に悪い”といった牛乳有害説です。
発端は、2005年に発売された「病気にならない生き方~ミラクル・エンザイムが寿命を決める」新谷弘実著 サンマーク出版
牛乳は飲むな!と言及されたこの本がベストセラーになり、一気に牛乳有害説が拡がりました。
主な内容:
・乳糖不耐性の問題
・牛の飼育に使われるホルモン剤や抗生物質の問題
・牛乳を飲みすぎると骨粗鬆症になる
・市販の牛乳は「錆びた脂」ともいえる
・カルシウムをとるために飲んだ牛乳のカルシウムは、かえって体内のカルシウム量を減らしてしまう
ここからエスカレートして・・・
・牛乳は牛の乳であって、人の飲むものではないから、体にいいわけがない(飛躍しすぎ)
・給食はご飯(白米)なので牛乳は合わない(これはちょっと同意 / 笑)
と次から次へと “牛乳は害悪である” ような持論が出てきました。
さて、牛乳業界もだまっておりません。
一般社団法人Jミルクは公開質問状をきっかけとなった書籍の作者に送り、その回答に対し、反論しております。
そのやりとりは、公開されております。
「病気にならない生き方」の著者 新谷弘実氏への「公開質問状」について
http://www.j-milk.jp/news/8d863s000007j0p1.html
これらを踏まえ、Jミルクは、HP上でQ&A方式で判りやすく解説をしています。
牛乳の気になるウワサをスッキリ解決!
https://www.j-milk.jp/kiso/uwasa/index.html
併せて、以下のHPでも、検証されています。
牛乳有害説 疑似科学とされるものの科学的評定サイト
http://www.sciencecomlabo.jp/safety/milk_harmful.html
では、どちらが正しいのか?については判りません。
( ここから筆者の個人的意見です )
個人的な意見としては、私も、科学的根拠をつけ、色々と説明をしていますが、前提としてあるのは、“科学はいつも後追い”なのです。Jミルク側は、「科学的根拠は?」と著者に問いていますが、
科学的根拠がない = 間違っている
と言い切れる程、人類の科学力が進んでいるとは思えない訳です。
(牛乳を含めた)全ての食品には、栄養を得られる半面、なんらかのリスクがあると思っていますので、牛乳にだって、リスクはあると思っております。なのに、牛乳だけこんなに取り上げられるのは、ちょっと可哀想のような気がします。
そもそも、牛乳のみで栄養を摂っている人はいない訳で、他の食べ物だって食べる訳です。
鶏卵でも書きましたが、単独食品を取り上げて、良い・悪いを言っても意味はないと思います。
(個人的意見終わり)
【乳糖不耐症】
そんな中、牛乳業界側も認めているのが、「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」です。
乳糖不耐症は、牛乳を飲むと、お腹がはったり、ごろごろと鳴ったり、腹痛、下痢、おならなどが出る症状で、
牛乳の中に含まれる「乳糖(ラクトース)」を消化吸収するために必要な消化酵素(ラクターゼ)の分泌不足が原因で起こります。
この乳糖は、乳にのみ含まれる糖で、日本人は、この消化酵素が少ないと言われています。
JミルクのHPでは、おなかがゴロゴロする人におすすめの飲み方も紹介しております。
https://www.j-milk.jp/kiso/uwasa/uwasa16/index.html
個人的には、ゴロゴロが不快であれば、無理して摂らなくても良いと思っていますが・・・
【一緒にマグネシウムを摂りたい】
マグネシウムは今後紹介しますが、牛乳のカルシウム:マグネシウム比率は11:1です。
効果的にカルシウムを摂りたいのであれば、マグネシウムが含まれた食品を一緒に摂りましょう。
