ルールを知らなければ損をする!!~悪送球での安全進塁権について②

野球規則5.06(b)(4)(G)
(G) 2個の塁が与えられる場合 送球が、
① 競技場内に観衆があふれ出ていないときに、
スタンドまたはベンチに入った場合。
(ベンチの場合は、リバウンドして競技場に戻ったかどうかを問わない)
② 競技場のフェンスを越えるか、くぐるか、抜けた場合。
③ バックストップの上部のつぎ目から、上方に斜めに張ってある金網に上がった 場合。
④ 観衆を保護している金網の目に挟まって止まった場合。
この際は、ボールデッドとなる。
審判員は2個の進塁を許すに当たって、次の定めに従う。
すなわち、打球処理直後の“内野手の最初のプレイに基づく悪送球”であった場合は、
投手の投球当時の各走者の位置、その他の場合は、悪送球が野手の手を離れたときの“各走者の位置”を基準として定める。
【規則説明】
悪送球が打球処理直後の“内野手の最初のプレイに基づくもの”であっても、
打者を含む各走者が少なくとも1個の塁を進んでいた場合には、
その悪送球が内野手の手を離れたときの“各走者の位置”を基準として定める。
先回からの続きです。
先回はこちら
今回は、勘違いしやすいパターンと、
“内野手の最初のプレイに基づく悪送球”と“各走者の位置”についてです。

先回は、典型的な例を挙げて安全進塁権の起点について説明しました。
これは、ランナーがいた場合もルールは変らないのですが、
複数のランナーの動きとボールの動きをがある為、勘違いを起こしやすいです。
【例:結構勘違いしやすい】
ランナー1塁。ちょうど盗塁を試みて、ショートゴロ。
遊撃手が1塁送球の際には、1塁ランナーは2塁に達していた。
1塁に送球した球が悪送球となり、ボールデッド。
例の場合、送球時に1塁ランナーは、2塁に到達していますが、
遊撃手の“最初のプレイに基づく悪送球”の為、投手が投げる時が起点となります。
その為、1塁ランナーは3塁、打者走者は2塁となります。
用語 「内野手の最初のプレイに基づく悪送球」
先回から頻繁に出てくる“内野手の最初のプレイに基づく悪送球”ですが、
走者をアウトにするために守備側がボールを保持して実際に行動を起こしたこと
と解釈されております。(野球審判員マニュアル第3版より)
これは具体例が判りやすいでしょう。
(下記、例1、2、3、4、5を比較してみましょう)
【例1】
ランナー1塁。エンドランがかかり、打者の打った打球はセカンドゴロ。
送球が2塁に送られるが、セーフ。
2塁の遊撃手が1塁に送球したが、これが悪送球でボールデッド。
この場合はどうなる?
→この場合、二塁手の2塁送球が、最初のプレイとなります。
遊撃手の悪送球は、最初のプレイではない為、
起点は、遊撃手が投げた時となります。
【例2】
ランナー1塁。
打者の打った球は、セカンドゴロ。
二塁手が1塁ランナーをタッグしようとしたが、
間に合わなかった。そして1塁へ送球したが、
これが悪送球となり、ボールデッド。
→この場合、未達成とはなりましたが、
二塁手のタッグは、ボールを持った野手が
実際に走者をアウトにしようとする正当な試みのことである
とのことで、最初のプレイとなります。
従って、二塁手が投げた時が起点となります。
【例3】
ランナー1塁。打者の打った打球はセンターに抜けそうなゴロ。
二塁手がなんとか追いつくも、その打球を弾く。
弾いた球を拾った遊撃手が1塁に送球したが、これが悪送球でボールデッド。
→この場合は、二塁手がエラーしたものの、遊撃手の送球が
最初のプレイとなります。従って、投手の投球当時の各走者の位置が
起点となります。
【例4】
ランナー1塁で、セカンドゴロ。二塁手が2塁へ送球しようとしたが、
遊撃手が2塁に入っていなかった。その為、反転して1塁へ送球したが、
これが悪送球でボールデッド
→この場合は、二塁手が2塁へ送球をしようとしましたが実際にはしていません。
その為、2塁手の送球が最初のプレイとなります。
従って、投手の投球当時の各走者の位置が起点となります。
【例5】
ランナー1塁でサードゴロ。これを三塁手がエラーをする。
コロコロ転がっているうちに、1塁ランナーは2塁へ到達。
打者走者は1塁へ達していた。三塁手はこの状況にも関わらず、
1塁へ送球。これが悪送球でボールデッド。
→この場合の三塁手の送球は、最初のプレイとなるのですが、
既に打者走者も含め1個の塁を進んでいます。
従いまして、三塁手の送球時が起点となります。
注意)投球当時
以前は、「ピッチャーがプレートに位置した時」とか「オン・ザ・ラバー」
と言われていましたが、2015年の規則改訂で、投球動作開始時に変更となりました。
(実施は2016年から)
用語 「各走者の位置」
もうひとつの起点である、“悪送球が野手の手を離れたとき” ですが、
各走者の位置を起点としています。
各走者の位置と記載されているのがポイントで、
占有ではないということです。
つまり、このルールの適用の場合は、同じ塁に2人はありえます。
これは例を挙げた方が判りやすいです。
【例6】
ワンアウトランナー1・2塁。
2塁ランナーは牽制球で誘い出され、2・3塁間のランダウンプレーとなる。
その間に1塁ランナーは2塁ベースへ。
ランダウンプレーの送球がそれ、ボールデッドとなった場合。
悪送球の際には、2塁ランナーは、2・3塁間、1塁ランナーは2塁ベース上にいた。
→この場合は、2塁ランナー、1塁ランナーとも起点は、2塁となります。
2塁よりテイク2ですので、双方ともホームインとなります。
さて、悪送球が野手の手を離れたときの各走者の位置ですが、
各走者の位置にも、例外はあります。
飛球(フライ、ライナー)が捕球された後に続く悪送球の場合に限って、
リタッチをしなければならない塁を基準として2個の塁が与えられます。
これも例をみてみましょう。
【例7】
1アウトランナー1塁でライトフライ。
1塁ランナーは、アウトカウントを2アウトと勘違いして、
2塁へ。右翼手がフライを捕球した後、ダイレクトへ1塁へ送球。
その送球がそれてボールデッドとなる。
→この場合、悪送球を投げた時、1塁ランナーが2塁へ達していても、
起点はリタッチをしなければならない1塁となります。従って3塁までの安全進塁となります。
野球規則:5.06(b)進塁(4)(I)【原注2】
【原注2】飛球が捕らえられたので元の塁に帰らなければならない走者は、グラウンドルールやその他の規則によって、
余分の塁が与えられたときでも投手の投球当時の占有塁のリタッチを果たさなければならない。
この際、ボールデッド中にリタッチを果たしてもよい。
また、与えられる塁はリタッチを果たさなければならない塁が基準となる。
次回は、投球時のボールデッドについてです。
- 関連記事
-
- ルールを知らなければ損をする!!~ベースの空過について①~
- ルールを知らなければ損をする!!~悪送球での安全進塁権について③
- ルールを知らなければ損をする!!~悪送球での安全進塁権について②
- ルールを知らなければ損をする!!~悪送球での安全進塁権について①
- ルールを知らなきゃ損をする!~ボーイズリーグ独自ルールについて~